しげログ

何があったか備忘録的な

チープカシオが好きだ。

先日友人と遊んだ帰り、満員電車に揺られていると、右隣にいるミディアム・ボブの可憐な女の子の右腕にいわゆるチープカシオと言われる時計がついているのを見つけた。

 

チープカシオとは本来、ホームセンターの隅っこに売っているような激安時計というスタンスの商品だったのだが、近年「ノームコア」と呼ばれる究極にシンプルなファッションのスタイルを支持する若者に気に入られ、インスタグラムや諸々のSNSによってじわじわとその人気を上げてきたのだ。

 

奇遇にもその日僕も全く同じモデルをつけていたので「目でもあったら微笑んでやろう

」と思ったのだが、何か不穏な気配でも察したのか彼女はこちらには一切見向きもせずにスマートフォンの画面を一生懸命に覗き込んでいた。

 

僕も三本だけではあるがチープカシオの魅力に取り憑かれた人間の一人だ。

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すべて1000円に満たないものだ。僕は長らく携帯電話があれば腕時計なんかいらないじゃないか、と思っていたためこの三本が持っているすべての時計だ。

一番右のモデル、「F-84w」が最も気に入っている。飲食店に勤めていた頃からもう二年ほど使っているが全く壊れる気配が見えない。洗い場で油まみれになり焼き場で食材のカスがこびりつき、しまいにはメンテナンスすら面倒臭がって週一で食器洗浄機に突っ込んでいたがビクともしていない。その堅牢性はさすが「テロリズムに使われた腕時計」なだけある。

 

 

 

僕はチープカシオが好きだ。小さなムーブメントに込められた日本の職人魂が好きだ。安物だろうと妥協されない堅牢性が好きだ。チープカシオで喜んでいる女の子がすきだ。チープカシオで輝ける女の子が好きだ。女の子が好きだ。可愛い女の子が好きだ。可愛い篠崎愛が好きだ。そして安い腕時計で満足できる自分の性格が好きだ。眺めて微笑んでいるときの自分の笑顔が好きだ。

 

 

オメガのクロノグラフなんか必要ない。アップルウォッチも僕にはもったいない。ましてやG-shockのように「水中200Mでも壊れない」など謳い文句があっても僕はおそらくこの先200Mも潜水することなんてないのだろうからG-shockも分不相応だろう。

きっとこれからも僕は高級腕時計など買わずにこのF-84wを相棒に生きていくのだろう。

 

それでいいのだ。